5月18日、ハノイ市公安グェン・ドゥック・ニャイン局長はソンラー省、ハノイ市、バックザン省、ランソン省、カオバン省、クアンニン省において2002?06年の5年間に渡り大量のヘロイン運搬をしていた100人近くに及ぶ巨大麻薬シンジケート摘発を報告した。
組織は数台の小型車に分乗するなどして運搬、車には情報交換用の無線や拳銃、警察帽、サイレン、優先信号灯、スタンガン、刀等を装備していた。
週7日、1日あたり2回の運搬を行うこともあり、1回につきヘロイン5?15包を運んでいた。組織の間では、ヘロインを「車」、確かな品質のものは「ソニー」、劣るものは「草」などとする隠語が使われていた。
合成麻薬もハノイ市?ドンナイ省―ビンズン省?ホーチミン市というルートで運搬していた。売却代金は1度の運搬で110億ドン(約69万ドル)、1カ月で900億ドン(約563万ドル)に達することもあったという。
この組織の摘発にハノイ市公安は2年を費やした。
発端は2004年12月6日、グェン・ティ・ガー(1971年生)が中国広西で地元公安に逮捕、24包のヘロインが押収されたことだった。ハノイ市公安は、インターポール、中国広西の公安当局と協力し資料収集などを行い、この捜査から、組織のリーダー、グェン・ティ・トム(1979年生)が浮かび上がった。
ハノイ市公安チャン・クアン・チョン麻薬犯罪捜査警察部長によると、若いながらもこの大組織のリーダーを務めていたトムは、その美貌を活かしてチャットで知り合った当時台湾在住の男性を帰国させ、自分の恋人とし組織に参加させるなどしていた。
チョン部長によると麻薬売却額は非常に大きく、最初の捜査で現金120億ドン(約75万ドル)、2万810ドル、携帯電話23台を押収、マンション7戸を差し押さえている。組織のメンバーは麻薬売買で得た資金をサッカー賭博やヘロイン用注射器の購入にあてていた。
逮捕された28人だけで500包(175kg)のヘロインを運搬していたことが確認されている。この事件はハノイ市公安が関連当局と協力して摘発した麻薬売買事件としては最大のものだ。現在さらに範囲を広げ捜査が進められている。