APEC開催直前の11月上旬、ハノイ市人民委員会は国際条約やベトナムの法律に反する、ウミガメ取引に関する指導文書を公告した。当局は国際組織と共同で、違法行為が横行するノイバイ空港とハンカイ通りで抜き打ち調査を実施する予定だったが、調査時刻・場所が事前に漏れたため摘発はゼロに終わった。
ウミガメは長寿であること、海の力を集めた生き物で幸運を運ぶとの迷信から珍重され、市場では、体長30?40cmのもので1頭250万?300万ドン(約156?188ドル)の値がついている。
現在ベトナムの海域には世界7種のウミガメのうち5種が生息する。いずれも絶滅危惧種で水産省、農業農村開発省は捕獲や取引、使用を禁止している。だが、環境保護に関する国際組織の調査によると、ハノイ市が市場の一掃を指導する直前には、20店近くがウミガメやその製品を公然と販売していた。
アジアのセンザンコウ保護プロジェクトによると、今年11カ月間に全国で押収されたセンザンコウは計300匹に上る。だがこのうち救助できたのはわずか3匹。押収されたセンザンコウの大半は衰弱していたが、人民委員会の決定・処理を待つ期間、森林管理局はプロジェクトに連絡し救助を要請しなかった。
11月4日、タインホア省公安と森林管理支局はセンザンコウ72匹を押収した。情報を受け世界野生動物保護協会(WCS)ベトナム事務所は押収機関に救助の協力を申し出たが、押収されたものは既に「処分」されたとの報告があった。レストランでは稀少品としてキロ100万ドン(約62.5ドル)以上でメニューに載るセンザンコウ――その「処分方法」には疑問が残る。