毎日、学校へ行く子供に500mlのミネラルウォーターを持たせてやるのだが、昼に帰宅した時に確かめると元のままで、たまに数口飲んでいるだけ。
なぜ飲まないのかと聞くと、「いっぱい飲んだらトイレ行きたくなるじゃん。学校のトイレ臭いし、混んでるし。休み時間に急いで行っても割り込まれて待たされるんだ。行けないまま授業って時もあるんだから」。
それで我が子は、トイレに行かずに済むように水を我慢し、本当にのどが渇いた時だけ数口飲む、という方法を採っていたのだ。帰宅してまずトイレに駆け込み、その後水をがぶ飲みする理由が、ようやく分かった。
また先日は子供から、「お母さん! T君がおもらししちゃったよ! 超臭かった! みんなにからかわれてT君泣いちゃって、かわいそう!」と、そんな話を聞いた。嘘ばっかりと言う私に我が子は、「信じられないならT君に聞いてみれば? お母さんにウソついてどうすんの?」と言う。中学2年生にもなって、おもらしするなんて誰が信じられようか。
だが、その話は本当だった。
学校に入ったことがある人なら誰でも、トイレの少なさを感じるだろう。生徒が少ない学校ならまだしも、マンモス校でもトイレには関心がもたれていない。5教室にトイレ1カ所だとすると、休み時間になれば200人もの生徒がそこに殺到する。だから、多くの子供たちが水やトイレを我慢する。そして腎臓を壊す危険も高くなる。
新聞を開けば、この学校ではエアコンを、あの学校では電子黒板を、という記事を目にするが、本当に考えねばならないのは、十分な水と紙と石けんが整った、広いトイレの建設ではないか。教室ごとにトイレが設置されればと思うのだが、いつのことになるのやら。
(ホーチミン市在住ゴック・イエンさん)