国内航空会社が格安航空券を大々的に展開して2年、飛行機を利用する中所得者は増えている。そしてテト(旧正月)には特に“庶民度”が増す。
■“緊急事態”……非常口からトイレ?
飛行機に補助席はなく、テトには満席になるため、通常より機内は混雑する。2歳児以下は保護者の膝に座ることになるが、離着陸の気圧変化などで泣きじゃくり、乗客全体に迷惑をかけることがある。
去年のテト、ベトナム航空を利用した乗客が、床に落ちているナイフを発見した。機内に持ち込んだのは2カ月の子供を持つ親で、お守りとしてオムツに忍ばせていたという。
南部航空港務局によるとテトには、非常口を開ける、たばこを吸う、救命胴衣を引き抜くといった行為が多発する。初めて飛行機を利用する人に多く、彼らは乗務員の説明を聞いていないか、聞いていても理解できず、機械的に従う。乗務員の説明が終わらないうちに、シート下から救命胴衣を取り出し膨らませてしまうケースも。
数カ月前、老人が非常口を開けようとしたところを乗務員が制止した。老人は尿意を催し、ふと「緊急時のみ開放」と書かれた非常口が目にとまり、まさに今置かれている状況だと思い、開けようとしたのだそうだ。
■食品の持ち込み防止に苦労
ジェットスターパシフィック航空によると、最も難しいのは、規定を超えた荷物や匂いを放つ食品の持ち込みを防ぐことだ。持ち込みを認めなければ、「ほかは大丈夫だったのに、なんでここはダメなんだ?」「これ10万ドンくらいなのに、預けて数十万ドン取られるなんて高すぎよ!」などと文句を言われる。
ある女性客が大きな荷物を3つ持ち込もうとしたため地上係員が戻って預けるよう求め、口論になった。すると隣にいた人が加勢し「田舎者だからっていじめんのか! 俺の荷物には爆弾が入ってるが、いいのか?」と口走り、搭乗禁止になった。
約1カ月前には、ひどく疲れた様子で搭乗手続きする老人がいたが、家族は「タクシーに酔っただけ」と言う。しかし搭乗するや老人は床に嘔吐、座ることもできず、降機させることになった。これにより出発は40分あまり遅れた。
ジェットスターパシフィック航空は、格安航空会社ということもあり特に庶民客が多く、利用者の混雑で通路やトイレでトラブルが生じる。乗務員が案内しても、座席を見つけられない乗客も多く、通路が渋滞する。トイレの使用では、施錠する習慣がなかったり、流さなかったりするため、衛生面にも影響がでている。