Khong Ten、Tieng Xua、ATBといったかなり前から存在する音楽喫茶(Phong Tra)も、Da Vang、Sai Gon M&Toi、We、Fashion Coffee、Bet Cafeといった最近できた店も、毎晩、歌手のライブがある。
しかし、各店それぞれ差別化しようと努力しているものの、客は揃って入らない。
■観客6人のライブ
若手歌手の出演が多いWeは、ホーチミン市でも独特の音楽喫茶だが、閑古鳥が鳴く現在の音楽喫茶の代表例でもある。
ミン・ハンさんがチン・タン・ビンさんと出演した夜の観客は約20人、ズオン・チヨウ・ヴーさんとホン・トゥー・クインさんの出演日はわずか6人、「今日来た客は得したなぁ、20万ドン(約10ドル)で独り占めだから」という冗談も。
有名歌手フオン・ランさんとクアン・ゴックさんがDa Vangに出演した日は、招待歌手を含め10人ほど。日曜の夜であったにもかかわらずだ。観客数がかなり安定しているKhong Tenでも、以前と比べ客の入りは大きく落ちている。複数の音楽喫茶を回っている歌手ザン・ホン・ゴックさんは、「特に最近2年はどこも客が入らない。30人を超えれば成功」と言う。
■客入りの悪さは「不景気」に非ず
しかしこの客入りの悪さは、「不景気」では説明し切れない。客が音楽喫茶を敬遠する、様々な理由があるのだ。
例えばインターネットのフォーラムには、こんな書き込みがある。「Kのサービスが不満だったから、予約をキャンセルして後日別の店に行ったことがある。いま音楽喫茶はどの店も、有名歌手を独占出演させる力がなく、これが客を集められない理由では?」。
どこの店にも出演しているため、今日見逃しても、明日別の店に行けばいい、というわけだ。
安全性や衛生面も気になるようだ。ほとんどの音楽喫茶は場所を借りているため、防災面を含めあらゆる面で不備がある。「Kは席がびっしり詰め込まれ、その割に非常口は小さい。店側から避難の説明もない。だからどんなに好きな歌手でも、CDでいいや」。
他にタバコの煙が嫌だ、という人も。
一方でレ・ホアン監督は、「テレビ番組もいっぱいあり、音楽喫茶は人を外出させる魅力が十分にないのではないか」と話している。