ベトナムで暮らす多くの外国人学生が、アルバイトで稼いでいる。外国に留学するベトナム人学生とは違い彼らは納税もせず、いつでもどこでもアルバイトができる。
■アルバイトで月1,000ドル
ハノイでは多数の大学で外国人留学生を受け入れている。ハノイ大学、外国語師範大学、ハノイ国家大学人文社会科学大学といった外語系大学のみならず、工科大学、医薬大学、経済大学、財務大学といった大学でも外国人学生が学んでいる。
教育訓練省外国訓練局の国際学生センターでは、学生の数が毎年増えている。学生管理幹部のグエン・ホン・ルエン氏によると、現在15カ国の学生300人以上が在籍している。東ヨーロッパの学生が減少するなか、オーストラリア、カナダ、アメリカ、フランス、韓国、日本からの留学生がここ数年、増えている。
ベトナムに渡って間もなく、外国人学生、特に西洋人はアルバイトを始める。ハノイ国家大学の学生だったオーストラリア人のベンさんは、「外国人学生にとって最も簡単な仕事は外国語を教えること。私も飲み屋での交友関係がきっかけでこの仕事を始めました。英語はネイティブなので、外国語センターで教えるよう頼まれ、面接は不要でした」と言う。
技術大学4年生でトルコ人のアスランさんは、アルバイトを始めて3年になる。「留学1年目は親の仕送りに頼っていました。2年目はインターナショナルスクールで月給1,000ドルでアシスタントの仕事を見つけました。時々、トルコのお客さんから翻訳も頼まれます。ベトナムで仕事を見つけるのは簡単です。生活に十分な金額も稼げますし」。
月3,000ドル稼ぐことも簡単、ただ勉強や遊ぶ時間はないというベンさんは、「多くの学生、家族から時給30ドルで英語の家庭教師を頼まれていますが、断っています。私は気楽で自由な生活が好きですから。月2,000ドルもあれば、十分暮らしていけます。ベトナムは稼ぎやすく納税も不要、いろんなところに旅行に行けるので好きですね」と話す。
■勉強を忘れてアルバイトに励む外国人学生
安定した収入がある外国語を教える仕事のほかに、ツアーガイド、MC、映画・広告出演、ゲームショーなども多くの外国人学生から選ばれている。お金を稼ぐ以外にも様々なメリットがあり、特に有名になれることがそうだ。
ベンさんは、「演技力なんていらない、ただ画面を通り過ぎるだけで200万ドン(約100ドル)。ゲームショーも1回の参加で100万?150万ドン(約50?75ドル)になります」という。国際学生センターの学生管理幹部によると、ベトナムの制度はかなり緩いため、外国人学生は簡単にお金を稼げる。
しかし、お金稼ぎに夢中になり、少なくない外国人学生が怠惰で自由な生活をし、最大の目的である学習をすっかり忘れている。その典型的な例がルーマニア出身のVである。国際学生センターの学生のあいだで金稼ぎがうまいことで知られているだけではなく、怠惰な生活を送り、学習もままならないということでも有名である。勉強して6年になるが、Vはまだ大学を卒業できず、センターは寮から出て行くよう求めている。
この状況に対しある労働専門家は、外国人学生のずさんな管理で、ベトナム人学生の仕事のチャンスが奪われるだけでなく、毎年数十億ドンともなる税収を失っているとし、学校の許可がなければアルバイトができない、1週間に一定時間だけ働くなど、明確な規定が必要だと指摘している。