寄付金4万ドルを集め、在日ベトナム人元留学生(Exryu Japan)のグループは、地震と津波の被害を受け、数千人が避難生活を送る宮城県亘理町でフォーの炊き出しを行った。
「ベトナム人は大切な人が困っているとき自分達の手で世話をすることから、私たちはこの方法を選びました。日本の方々からの助けに深い感謝の気持ちを表すように」とさくら日本語学校の理事長でこのグループの会員でもあるグエン・ヴィン・チュオン氏は話す
炊き出し前には被災地に2度視察に行き、避難所では1カ月以上おにぎりと野菜スープのみだったことから、「温かい食事が日本人の心を温めると思った」と同氏は言う。
スープ、麺、牛肉、鶏肉、香草、調味料は東京のベトナム料理店で調達し、茶碗、箸、スプーン、水、ごみ袋も準備した。夜中、東京から宮城まで400キロの道のりを走らせ、翌朝には温かい会話や質問が飛び交うなか900杯近くのフォーが被災者に配られた。
ベトナム語で「おいしい」という言葉を学ぶ笑い声に包まれるなか、目に涙を浮かべたある年配の男性はフォーを受け取ると「ばあさんが生きていれば、この温かいフォーが食べられたのに」と口にした。
チュオン氏によると、5月初めに再び宮城県で炊き出しを行う予定。炊き出しは最低でも8月まで続け、各避難所で約2万杯のフォーを振る舞うことを目標としているという。
■衣類・割り箸など支援物資も
4月28日、日本の地震・津波被災者を支援するため、ベトナム政府・国民からの第1次物資が成田空港に到着した。日本政府の提案に沿って選ばれた8トンの物資は15万ドル相当、大人用衣類、幼児用下着、タオル、靴下、割り箸などが含まれている。
グエン・フー・ビン駐日ベトナム大使は、日本から要請があれば引き続き支援物資を提供したいと述べている。