先日の友人家族との旅行では、Cさんの7歳の子供Nに驚かされるばかりだった。何か気にいらないことがあるとNは大声をあげ、駄々をこね、さらには爪で自分を傷つけて、両親を従わせる。
言わなければならないのは、その旅行中に我が家の「王様」の言うことに逐一こたえなければならないものの、Cさんがこう自慢げに話すことだ。「小さな頃から物おじしない子で、1は1、2は2って絶対譲らないの。ちょっと個性が強すぎるのが玉に傷で、お父さんが言うこと聞いてくれなかったもんだから怒っちゃって、ベッドから飛び降りて机の脚に頭をぶつけて、4針縫ったこともあったわ」。
子供のために両親が犠牲になることは、生活では当然のことだが、盲目的な犠牲は子供に害となる。
ホーチミン市タンビン区に住むKさんの家はかなり豊かで、我が子らが友達に負けるのを嫌った両親は、子供の望みを拒否するようなことはなかった。両親が言うことを聞いてくれなければ、子供たちは家出すると脅かす。そうするとすぐに、その望みは叶えられる。
小学生で子供たち2人はお高い携帯電話を使い、中学校を卒業する前に、お兄ちゃんは両親に5,000万ドン(約2,600ドル)もするバイクを買わせた。子供がバイクを運転できない年齢であることを知りながらも、両親は従った。
しばらく使い、違うバイクに乗り換えたいと思ったが、両親がそれに同意しなかったところ、子供はそれを売り払い、なくなったと告げた。小遣いを手に入れると同時に、新しいバイクを購入してもらおうと考えたのである。
お兄ちゃんがひったくりグループの一員として捕まり、麻薬に溺れても、それでも両親は目覚めなかった。
貧しい家庭とて、子供の「王様化」は避けられないようである。ビンタイン区に住むGさん夫妻は商いをして、月収は500万ドン(約263ドル)を超えない。
中学校の最終学年になるというのに、Gさんの娘Mは、1食あたり2万ドン(約1.1ドル)もらわなければ、ご飯を食べない。Mは家のことには一切手を出さず、洋服も母親が洗う。家には5歳の妹がいるが、両親が商売に行って遅く帰るようなときには、1時間1万5,000ドン(約0.8ドル)で、妹を見てあげている。
そしてこの2カ月、Gさん夫婦はまるで魂が抜けたようになってしまった。両親にバイクを買ってもらえなかったことで、Mが家出してしまったためである。