安全総局グエン・ドゥック・ミン副総局長は7月7日、ITを利用して詐欺を行っていた国際犯罪組織の捜査結果について記者発表した。これによると当局は、本国にいる人々を狙って詐欺行為を働いていた台湾人と中国人99人を逮捕した。
公安当局は今年3月、台湾人や中国人の犯罪グループが多数、観光目的などでさまざまなルートからベトナムに入国していることを掴み、捜査によりこれらの人間が、中国人、台湾人の黒社会組織であることを確認した。これらの人間は最近タイでも活動していたが、各国で警察の取締りが強化されるようになり、ベトナムに活動の場を移したと見られる。
ホーチミン市に集まった犯人らは、8?10人のグループで7区、8区、12区などに家を借り、そこを犯罪の拠点とした。ターゲットは中国の国民や銀行で、はじめは定年退職者や中所得者が狙われていたが、後に経営者や資産家などがターゲットになった。
捜査当局によると犯人らは、インターネット回線を設置し外国に置かれたサーバーと接続、そこからベトナム国内に設置された固定電話などに接続され、これは台湾や中国国内からの電話のように使うことができる。
犯人らはその電話を使って詐欺を行った。郵便局員や警察官、裁判所職員などを騙り、通信料の振込みがまだだ、警察で被害者の口座に関連した事件を捜査しているなどと伝える。会話の最後に、詳細を知りたければ電話を折り返すよう求め、これに応じた被害者に、「あなたの口座に関連する詐欺組織について捜査しており、現在口座にある金を警察が保護する口座に入れなければ、あと数時間で全てなくなる」などと告げる。被害者を精神的に追い詰めるためにグループは背後で、警察署内なされていそうな会話をしていた。
この「捜査官」の言葉を信じた多くの被害者が、預金を引き出し指示される口座に振り込んでおり、犯人らは週あたり数百万ドルの荒稼ぎをしていたと見られる。公安当局によると、ベトナム人の被害者は見つかっていない。
99人を逮捕した公安当局は検察と緊急会議を開き、被害者が外国にいてベトナムにいないことなどから、刑事処分をせずに行政処分にとどめる判断とし、7日に台湾人29人が強制退去となっている。