世界各国で裁判官は正義の象徴として見られている。しかしベトナムでは、裁判官による不正が増えつつある。
6?7月にメディアは、少なくとも4件の裁判で違反があったと報じた。最初のケースは、まだ審議されていないにもかかわらず、裁判官が原告に対し協議離婚を認めるとする判決を出した。続く2件は、裁判官が被告に金を要求するなどの不正行為だ。4例目は裁判官が捜査機関幹部の自宅に赴き、この機関で調査中の容疑者の罪を軽減するよう請うため、3,000万ドン(約1,765ドル)の賄賂を渡した。
これらは裁判官のモラルに反する驚くべき出来事だが、このような事件は立て続けに発生しており、メディアは一般の事件のような扱いだ。
ハノイ・ホアンキエム区人民裁判所の裁判官は被告から1億5,000万ドン(約8,824ドル)を脅し取り、タイグエン省人民裁判所の裁判官は麻薬密輸の容疑者に対し、調書を改ざんし罪を軽くするために賄賂を受け取っていた。
他にも裁判官の不正をあげればきりがない。2007年に刑事責任を追及された幹部や裁判官は35人。現在全国の省・県級の人民裁判所に在籍する裁判官は3,350人で、この数字は約1%を占めることになる。
正義は人々に信頼をもたらすものであり、社会の存続と発展の根拠となるものだ。裁判官は特別な存在だが稼ぎがいいわけはなく、正義のために自分を犠牲にし、社会に公平さをもたらす職業である。
ある弁護士は、西洋の少なくない国で法律学校の卒業生は、給与が低く厳しい職業である裁判官に就くことを好まないと指摘する。裁判官の職を選べば、彼らは厳しい規則を受け入れ、自分を犠牲にしなければならない。そのため裁判官による不正が起こることは稀なのである。米国務省の資料によると、アメリカで1789年以降に違反を犯した裁判官はわずか7人でしかない。
ベトナム商工業委員会法制課長のチャン・フー・フイン氏がベトナムの裁判官一行を連れイギリスを訪れた際、ある裁判官が「イギリスでは裁判官が収賄した場合、どのような処分をするのか」と尋ねたところ、こんな答えが返ってきたそうだ。
「収賄ですか? 40年裁判所にいますが、そんな話は聞いたことありませんよ」。