このところ女性による犯罪が目立つ。むろんこれまでも、女性による犯罪は少ないものではなかったが、最近になってそれは増加傾向にあり、さらに女性とは思えない、私たちが想像だにしないような形に凶悪化しつつある。
ハイフォンに住むある33歳の女性は、夫の寝ている間に彼を刺し殺した。そして奇妙なのは、公安に自首する前に家族に電話し、現場に来させていることだ。今年2月、そしてそれ以前から、前科も何もないある母親は、明確な理由もなしに、罰として娘の手足の腱を切り、また別の女性は自分の子供を墓地に連れて行き刃物で切りつけた後、その傷口に塩をすりこんだ。
カントー市では母親が自分の2人の娘を騙して売春させ、最近ではハノイで、親切で、優秀で、美しい女子大生が昔の恋人を自動車の中で殺害した。彼女の自供を信じるとしても、その自己防衛は過剰で、その冷血さは身の毛がよだつほどだ。
本来穏やかな女性の表情が、どうしてこう悪魔の顔に変わるのだろうか。「心の病」か、それとも「モラルの低下」か。はたまた経済難の圧力なのか。理由はどれも理にかなうものといえるが、しかし2つのことが私たちの心を痛ましくさせる。
ひとつは、生活に不測の事態が生じたり、困難が現れたりすると、私たちの社会ではその重荷はたいてい、頼りない女性の肩に圧し掛かる。家庭の母その人は、無能であるばかりか、酒やあまつさえ麻薬に溺れる大黒柱の代わりに、全ての面倒を見なければならない。
ベトナム人女性は優しく、忍び、夫子供のためなら喜んで汗水流すが、それが一定のレベルを超えれば心の病が首をもたげ、または様々な形でキレてしまう。子供を喰らうトラはいないし、そもそも人間の母性というものは何よりも深いものである。しかし実際には、キレてしまった女性達がいる。彼女達を非難する前に、彼女達の余りにも苦しい環境、行き詰まりにもう少し目を向けるべきではないのか。
もうひとつ、家庭内暴力というものが、減らないどころかむしろ増えている。それは家族の生活をめちゃくちゃにし、子供達、そして老人達が耐え切れず、家を出て行くことになる。そしてそれが、耐え忍ぶことを知り、穏やかなはずの母の心を狂わせ、そして犯罪へと追いやっているのだ。