「私が好きなハノイ」と題した写真展がハノイの日本文化センターで11月13日始まった。ハノイ在住経験を持つ日本人44人の想いが、写真や言葉で表現されている。
Ino Mayuさんはハンホム通りの風景を非常にシンプルに撮り、74歳の自転車修理工が聞かせてくれた話を寄せている。そのおじいさんはかつて峠を駆け抜けるトラック運転手で、その後フランス人のために自動車を修理する職人になった。おじいさんはもういないが、そこを通るとまるで自分に向かって微笑みながら手を振ってくれるような気がするという。
Komatsu Miyukiさんは、ベトナムの記念日に金星紅旗(国旗)がはためく様子を捉えた。非常に独特の感性が表れている。Saito Takohisaさんは冥器で有名なハンマー通りの赤い色彩に惹かれた。特に夕暮れ時の光景は彼の幼少時代を思い起こさせるものだという。
Ao Masatakaさんは、空港から市内へ向かい初めて寄った場所であるトゥイータカフェが忘れられない。Aoki Seiichiさんは、朝は朝食をとったりコーヒーを飲む人で賑わい、昼時にはブンチャー(肉入り付け麺)の店が並び、そして夕方はひっそりと静まり返るドーハイン通りでの生活をこよなく愛す。
素朴なブンや大空に幾重にももつれた電線など、何気ないものに心奪われる作者がいる。熱気のこもったバスの車内を好む人、大衆酒場でビールを酌み交わす感覚が好きだという人もいる。
ベトナムに長く住む人やハノイ歴史研究会のメンバーはハノイの名所を愛してやまない。長い歴史を持つロンビエン橋についてIshihara Tsumotoさんはベトナム人の強さを感じるとしたためた。他の作品にもチャンクオック寺やキムリエン寺、旧市街、クアンホー(北部伝統の男女で歌う民謡)、漆絵、アオザイの魅力など様々なベトナムの文化が取り込まれている。
感情溢れる日本人によるハノイについての文章が、ハノイ市民に自分の身近な場所の素晴らしさを再認識させるものになるだろう。