10代向けとして、性描写が多用されたThanh Hoa出版の『マンガのなかの男の子(Chang trai trong truyen tranh)』が発行され、現在ホーチミン市内のレンタル店に広く普及し、マンガ愛読家に人気だ。
主人公は、自称マンガマニアで美男子好きの16歳の女子高生Luki。内容は、9回の離婚経験をもつ34歳の母親が娘の恋人探しのために自宅の一部を男子学生に間貸しし、あるマンガの主人公Rooに憧れるLukiは、いつか彼が実世界に現れ自分を愛するところを想像している。熱心な母親のおかげでLukiはSuduと出会うといったもの。
物語では2人のデートの様子から愛情表現、性的関係までが生々しく描かれ、身体の描写のほか、淫らな台詞も度を過ぎていると物議をかもしている。登場人物はみな自分が淫らであることを自覚し、愛情に溺れ、過剰に嫉妬する。授業中に教師の目を盗んでは、淫らな行為に及んでいる。
このような内容だが、対象は10代とされ、幼い子供でも簡単に手にすることができる。あるマンガ出版社幹部は、ある民間出版社が10代向けに性描写の過激なマンガを自主制作出版しながら、登場人物の名前を日本名や韓国名にし「翻訳版」と読者に誤解させていることを懸念している。先の『マンガの??』は著者名がなく、『実現者リー・ティエン』とあるのみ。これは出版法で定められた、出版物には著者名を明記するという規定にも反している。
またこのところ、セックスや同性愛などをテーマにした書籍はほかの文学書と比べものにならないほど成長している。2008年にホイニャーヴァンが出版した山田詠美の『ベッドタイムアイズ』のベトナム語訳版は書籍の紹介で、「1990年代に登場していればポルノ小説に分類されていただろう。しかし2008年の今、この本は性的関係以上のメッセージを私たちに伝えている」とある。確かに読み進めるにつれ読者を登場人物に感情移入させるものだが、最初のページから始まる2人の主要登場人物のこと細かく描写された性愛に戸惑う読者もいるだろう。
外国の文学では性描写も読者に作品の魅力を伝える不可欠な要素とされており、ベトナム人作家もこの手法を採りいれるようになっている。読者も文学における性に寛容になりつつあるが、誰もがその価値や意味を見出せるわけではない。『ベッドタイムアイズ』でも、作品に隠れた深い意味を見つけられなければ単なる三文ポルノに過ぎない。
■出版社の処分を提案
情報通信省出版局のグエン・キム局長は9月18日、性描写が含まれるマンガを出版した一部出版社を処分するよう監査部に提案したと発表した。局長によると、日本語から翻訳された多くのマンガに性描写が含まれている。
「ベトナムの出版社は翻訳してもどの世代向けか明記せず、またマンガは子供のものという消費者の考え方にも注意していない。他にも性的描写が非常に多いものがあり、重く処分されるだろう」とキエム氏は話している。