ハノイの国立図書館内の「閉架書庫」は韓国展示室と何ら変わりない。入室した人が、場所を間違ったかと驚くほどだ。
250?の広々とした部屋は美しく、出入り口には大企業風のモダンな机。部屋のいたるところに「Window on Dynamic Korea」と目立つ色で書かれ、さらには大都市や伝統衣装など韓国にまつわる写真が30枚以上飾られている。
韓国の歴史・経済・文化・学術に関する本が7,000冊、ほかにも韓国映画などを中心としたディスクが300枚ほど所蔵され、まるでミニ韓国文化センターのようだ(ホースアンフオン通りに韓国文化センターは実在する)。
しかしここはチャンティ通りの国立図書館2階に位置する閉架書庫で、この部屋は国立図書館の開館90周年と両国の外交関係樹立15周年を記念し、韓国の支援により設立されたものだ。
国立図書館は、▽友好、▽中国語、▽閉架書庫(閲覧要求書が必要)、▽貴重資料室(同)、▽応用自然科学、▽人文社会科学の6分野に分かれ、応用自然科学室も韓国の支援を受けており、壁にはSK TelecomとGlobal Civic Sharingの文字が大きく書かれている。
それでも国立図書館は気品高く、ベトナム文化・知識の結集地、ベトナムらしい場所とみなされており、学生のタオさんは「まるで韓国の広告ようだが、広々としていて魅力的な空間で、学生はここが好き」と述べる。しかし工科大学のヒヨウさんは「なぜ『ベトナム』ではなく『韓国』が目に飛び込むのか。こんなに広く『韓国の空間』があるとは」と話す。
これについて司書に聞くと、コメントは拒否された。ハノイにおいても国内においても唯一無二の国立図書館のような場所が「韓流」に呑みこまれようとしている。