ビントゥアン省人民裁判所の書記官ハンは、金銭を受け取り、判決を受けた被告人が刑を免れられるよう取り計らったとして告訴された。
刑事事件を担当していたハンは、3年前からあからさまな手段で行為を繰り返していたが、処分には至っていなかった。
ハムタン県タンギア村のラン被告は3年前、売春斡旋罪で禁固5年の判決を言い渡された。しかし審理中も拘束されず、判決後すぐに刑執行延期を求める文書が提出されたため、投獄されることはなかった。
これを知った村人民委員会が延期を取り下げるよう求める文書を出したが、省人民検察院がハンから受け取った書類にこの文書はなかった。
12カ月におよぶ延期の後、ラン被告は幼い子供の養育と婦人病を患っていることを理由に再度延期を求める文書を提出した。
この文書のほかに、法で規定されている人民検察院への公文書送付はなされないまま、ハンは省人民裁判所に被告の病状を検査するよう求めた。その後省法医当局によりラン被告が体の76%を損傷しているという鑑定書が出された。
人民検察院、人民裁判所、省公安は2004年2月18日、ハンも交えて会合を開き、ラン被告の罪は重く、刑法254条2項(懲役5?15年)に該当するため2回目の延期は認められないことを確認した。しかし驚いたことに同月23日、人民検察院は人民裁判所の延期決定を受け取ることになった。
人民検察院はラン被告に診断書提出を求めたが、被告は何の書類も持たず、省法医当局により76%を損傷しているという診断結果がだされていることさえ知らなかった。
人民検察院が被告の病状を別施設で調べたところ、結果は先の法医学鑑定書の結果とは完全に異なっていた。
タイン被告が、公文書偽造の罪で4年の禁固刑を言い渡された事件でも判決後、病気の治療を目的に刑執行の延期を求める書類が出された。省人民裁判所は、被告の病気の法医学的見解を求めたが、規定通りに人民検察院に公文書が送られることはなかった。
その後、延期は2回認められており、ハンが関わった2回ともその期間を記載せず決定日だけが書かれていた。人民検察院がタイン被告の刑執行は延長期限を8カ月も過ぎているとした地方からの文書を受け取るまで、判決は地方で止められていた。
人民検察院が直ちに調査に乗り出し、被告が健康体であることがわかった。検察院が動きはじめるとタイン被告の刑執行延期を求める文書が次々と提出され、ハンは裁判所トップの見解が得られていないままそれらの文書を省公安に回していた。
警察当局幹部によると、ハンは文書を正当化する方法を話し合いたいと積極的に面会を申し出てきたという。2004年9月7日、逃亡中のタイン被告が逮捕された。警察官は、逃亡前にタイン被告が子供に「ハンさんにすぐ電話して知らせなさい」と言っているのを聞いている。
他にも売春斡旋罪で禁固5年の罪を言い渡された被告について、夫が精神病であるという鑑定書を手に入れ刑執行の延期を申し入れたという手口も確認されている。