ハノイ、ザップバットバスターミナルを囲むコンクリートの壁際には、隣接する住宅の窓に無数のはしごが立てかけられている。
はしごの先の窓の中は、バス利用者相手の民宿・食堂・カフェになっており、昼時、食事を終えたとおぼしき客が、はしごを降りてきた。
数百メートルにわたる周囲の壁には、隣接して立ち並ぶ住宅の9割がはしごを設置している。最も集中しているのは北側で、はしごの長さは短くて3m、長いもので7mになる。バスターミナル管理局によると、取締れば一斉にはしごを片付け、それが終われば元に戻る。
壁が建設される2003年以前は60世帯がバス利用者向けの商売をしていたが、無秩序・不衛生になり治安が悪化したため壁が建設された。
だが商売の道を奪われた住民らが次々とはしごを設置、商売を続けた。8世帯は壁により玄関が閉ざされ、窓とはしごが唯一の出入口となっているという。
管理局は対策として、壁際での売店建設を申請している。ホアンマイ区ティンリエット街区人民委員長によると、付近は治安が悪く公安も手に負えないほどだ。もともと農地であったここに建設された住宅の多くは違法のものという。
付近はキムドン湖改修プロジェクト指定地域にもなっており、プロジェクト進行で全面解決に運びたい考えだが、そのプロジェクトがストップしており、解決がいつになるかは分からない。