米国における留学生動向についてまとめた「Open Doors 2009」(米Institute of International Education)によると、ベトナムは1万3,000人で、米国での出身国別留学生数でトップ10に入っている。米国への留学生はこの10年で8倍に増えている。
オーストラリアに留学するベトナム人は2万3,400人でさらに多く、同国における出身国別留学生数でトップに入っている。海外留学するベトナム人は、今後も増加すると見られている。
この数字から考えさせられることが幾つかある。まず単純に数字だけ見れば、喜ぶべきものと言える。経済が順調に成長し、国民生活が改善され、若者にも、伝統的な向学心が流れていることを示すものだからだ。しかし別の角度から見れば、教育がもはや求められるものに応えられなくなっているとも言える。
チャン・ホン・クアン元教育訓練大臣もこれを踏まえ、警鐘を鳴らすべき状況で、大学教育の是正を進めるときに来た、と話している。クアン氏によると、教育の質は様々な要素に関連する。
教育システムの能力、教員、施設、教育内容などだが、ベトナムではこのいずれもが、求められる水準に達していない。成績病に詰め込みの知識、一方でスキルに劣り、これにより国内外の労働市場に応えられなくなっている。
国会常任委員会が先週発表した報告によると、この11年でベトナムで大学は容易に設立され、全国で300の大学が生まれ、短大とあわせればその数は400を数える。
一方1987年から2009年のあいだに学生数は13倍に増えたが、教員数は3倍にしか増えていない。しかも教員6万1,000人のうち3分の2は学士レベルである。このような教育環境で、将来の世代に「ブレイクスルー」を期待できるだろうか。
かつてマレーシアも同様に頭脳の流出が起きていた。しかし正しい方向性で10年教育改革に取り組んだ結果、マレーシアに留学する外国人学生数が、同国から海外へ留学する学生数を上回るようになった。非常に近くで行われた教育改革の成功を、参考にしないわけにはいかないだろう。