英語力の向上や積極性・自主性を身に付けたり、良いサービスを受けられる等々、インターナショナルスクールの長所は無数にあるが、多くの保護者がそのマイナス面に気づき始めた。
フンさんは、多くの人が自分の子供を見てインターに通っているとすぐ分かることを知り驚いた。なぜか。子供が欧米風の対応をしていたからだ。子供が英語におけるIとyouという人称をそのままベトナム人に使うと、大人は尊敬されていないと感じる。
幼い頃からインターで学ぶ多くの児童にこんな欠点がある。社会と関わると、彼らはベトナム文化にはない対応をしてしまう。この違いは保護者にとってのハードルにもなっており、世代間ギャップや外国語力の違いから、子供が友人同士で何を話しているのか全く理解できないことも多い。
このほどインターから転校してきた5年生を受け入れたホーチミン市1区の小学校教員トゥイーさんは、この生徒は英語はよくできるが、書き取りなどベトナム語力が非常に低いことを嘆いた。生徒の母親は外国人が持つ自立性や自主性を育て、英語力を高めたいと考えインターに通わせたが、ベトナム語技能の鍛錬には無関心だった。
インターに通う幼い生徒の多くが、母国語より英語が得意という状況にある。教育研究院のグエン・キム・ズン副院長は、母国語を完全に身に付けていないうちから英語を学び始めると、正しい方法で教育されない限り、ベトナム語と英語を混同してしまうと分析する。
様々な理由から、国内の学校に転校した多くの生徒が、環境や対応方法の違いにショックを受けるようだ。さらに至れり尽くせりの環境に慣れているため、溶け込むことができず無感情になったり、自分の家庭より財政的に劣る他の生徒の困難を前に心を開くことができない。
市教育訓練局小学教育室のレー・ゴック・ジエップ室長は、学校は社会のようなもので様々な層の人がいて、遊びや勉強をともにすることで子供は社会の多様性、自分より困難な状況にある友人と感情を分かち合うことを学ぶと話す。インターはモノにあふれ、人格形成に注意を払わなければ子供はわがままになってしまう。
こういった状況は、教育訓練局が開催している市内の高校生を対象にしたキャンプでも見られる。市内と郊外の生徒は仲良くなるが、インターの生徒たちは自分たちだけでグループを作りiPodで音楽を聴いたり、遊んだりして他の学校の生徒と馴染まないという。
■インター卒業は大学に行けない?
レーさんは、ブイティスアン高校の1年生を終え、1区のバイリンガルスクールに転校した。新しい学校での成績は比較的良く、9.3点という数学の平均点を取り優秀生のグループに入った。しかし前の学校に通う友人のノートと比較すると内容が疎略で、これに気づいた家族は慌てて元の学校に戻した。
元の学校での1学期の数学の平均点は5.3点、他科目も平均レベルしかなく、家族は家庭教師を雇うことにした。母親トゥイーさんは、子供を絶対に留学させるならインターが良いかもしれないが、そのカリキュラムではベトナム国内の大学入試に対応できないと結論付けた。
2008年末と2009年初頭、教育訓練局は22の教育機関、特に外国要素を持つ学校の監査を実施した。これにより一部の外国要素のある外国語学校、私立幼稚園、私立高校で無許可或いは許可証・カリキュラム・学費の非公開、労働契約のない教員の雇用、労働許可書のない外国人教師の雇用などの規定違反が明らかになった。