グエン・クアン・キン氏は、ベトナムの教育システムが非常に不合理で、時代遅れだと指摘する。現在の生活上のニーズに対しても、さらに将来的な国の発展ニーズにも対応できず、他国が廃止した教育制度などが依然として残っている。
教育は規模こそ拡大しているが、その構造は科学的でなく、経済社会の発展ニーズが勘案されていない。質も概して低く、一部学生のモラル低下は懸念に値する。
基準を設定してもカリキュラムや教科書の専門性は低く、卒業後も多くは生活に不可欠な知識や技能に欠ける状況だ。学校での教え方も、テストに備えた暗記型が主である。
この原因としては、教育分野の管理・運営の不味さにあると指摘する意見が多い。教育分野の長期計画も経済社会の計画とリンクしていない。職業訓練と教育とで管理する国家機関が分かれ、質の保証できない大学や短大も多く新設されている。
ラム・クアン・ティエップ教授によると、2005?2007年に大学・短大は97校増加、うち大学は69校で、1週間に1校が設立されている計算になる。
学校の急増に対し質が置き去りにされている現状についてティエップ氏は、大学教育が間違った方向に進んでいると指摘、規模を拡大する分野を確定し、現状は新設を停止すべきと話す。
一方チャン・ホン・クアン教授は、私立大学の設立や外国の学校との提携、公立校の自主運営の必要性を指摘する。
大学、短大の入試改革も重要だ。ティエップ教授は、全国レベルの一斉試験は継続してよいが、高校卒業試験に替え、最終学年の学生の総合能力評価に移行することを提案する。
高校の卒業試験は省が管轄し、大学入試はどの試験の結果を採用するか、各校が公開した上でこれを決定すべきと話す。
職業訓練にも問題が多い。グエン・ミン・ズオン教授は、過去10年で職業訓練校は増加したが、大学・短大の発展と比較するとバランスが取れていないと述べる。質も工業化や近代化、国際統合のニーズに応えられていない。
育成プログラムは時代遅れで、実践・応用も少ない。ズオン教授は、この数十年国内の技術師範大学は、職業訓練校で約200業種が教えられているにもかかわらず、21業種でしか教員の訓練をしてこなかったと述べる。これにより業種によって教員の偏りが生まれている。
教育改革には、改革案の作成で首相の諮問機関となる教育改革委員会の設立が必要だ。この分野に精通する専門家が参加し、委員は特定機関の代表としてでなく、個人として仕事をする。
教育分野の問題の調査や発展の方法を示す際に客観的な立場を守るため、教育訓練省からの独立も保証しなければならない。